有機栽培での施肥について解説します。
有機栽培での施肥の考え方、施肥コントロールのテクニックは、野菜や果物にも使える話なのでそれらも対象にした表現もしています。
ぜひ家庭菜園にも使ってみて、美味しい作物の収穫に役立ててください。
有機栽培でのバラへの肥料の基本的な与え方
肥料を与える頻度
バラは肥料食いと言われることが多いですが、農薬に頼らない有機栽培では肥料は皆さんが思うよりずっと少なくなります。
■固形肥料の場合、推奨量の半分を1ヶ月~1ヶ月半に1度程度。
■液体肥料の場合、推奨濃度よりも薄めを回数を増やして与える。
というようなイメージになります。
有機栽培での肥料は「土壌に栄養を足すためのもの」
有機栽培(有機土壌を作り、維持しながら行う栽培)
…有機土壌では足りない栄養を、有機肥料で足していきます
有機栽培では、肥料は植物に与えるんじゃないのにゃ!
「土壌」に栄養を足すために与えるのにゃ~
どうしてバラ栽培では肥料が必要なのか?
自然で育つ(自生できる)植物は、有機土壌だけで栄養が足ります。
大きくて甘い実を付けたり、たくさんの花を咲かせたり…
品種改良された植物は、有機土壌だけでは栄養が足りないから自生できません。
足りない分を足してあげるのが、有機栽培での施肥です!
有機栽培で肥料は土壌に混ぜません
肥料を土に混ぜ込めば、有機土壌は壊れてしまいます。
自然界において肥料となるのは、生き物の糞や死骸です。これらは微生物などに分解されて初めて植物が摂取できる栄養となります。
自然でも、生き物の糞や死骸のある直下は植物は枯れていきます。
しかし、そのまわりの土では植物が良く育ちます。
肥料を土に混ぜ込むことは、土壌の肥料濃度を高くしすぎて有機土壌を壊し、バラの生育に悪影響が出やすい環境にしてしまう行為です。
有機栽培では、足りない栄養分を定植後に与えていきます。
施肥はバラの生長状況に合わせるのがグッド!
植物というのは栄養を作り出す生き物ですよね!
(光合成による糖・窒素からのタンパク質・酵素・ビタミンなど)
では植物はどこに栄養を貯めているのでしょうか?
実や花にたくさんの栄養を貯め、枝や幹には栄養を貯めることはしません。
バラの場合落葉樹なので、花盛りの時期とまったく葉が無い枝のみの季節がありますよね。
ですから、1年中同じ施肥というのは有機栽培ではおこないません。
生長や時期に合わせて施肥量や施肥タイミングを変えていくのが有機栽培の特徴です。
無駄な施肥をしない
「無駄な施肥」というのは、バラが栄養を必要としない時期(特に冬の休眠期)に土壌に栄養分がたくさんあったり、植物が必要とする以上の栄養を与える事にゃ!
■無駄な施肥が病害虫を呼び込んでしまいます
(軟弱化、亜硝酸ガス発生)
■無駄な施肥で有機土壌が壊れます
(栄養バランス、微生物バランスが崩れる)
■無駄な施肥は枝枯れや変形の原因にもなります
(窒素過多、腐食菌の侵入)
肥料の使い分けテクニック!
大きさ、甘さを求めるなら、ぼかし肥料+リン酸で!
上級者向きの施肥コントロールテクニックです!
栄養生長時はリン酸を抑え、じっくり苗を成長させます。
開花時、実成時はリン酸を効かせ、栄養を実や花にしっかり送り込みます。
品質最重要視型の施肥となります。
(*有機栽培ではカリは安定させますので、あえて効かすということはしません)
花数の安定、収量の安定は、リン酸の安定を!
繰り返し開花、繰り返し収穫する場合は、リン酸を安定して効かせます。
リン酸のコントロールが難しい初心者向きでもあります。
収量最重要視型の施肥となります。
液肥はメリットを活かして使っていこう!
■素早く効かせ、素早く抜くことができる
酷暑や冷夏などの天候不順時、生育不良からの立ち直り、シーズン終盤の施肥時など…
ぼかし肥料との併用がオススメですが、液肥だけでも充分すぎるぐらいの高品質です。