施肥コントロールするために絶対に欠かせないのが、各栄養素の知識です。
以下、表にしましたので参考にしてください。

多量要素

名称 説明
窒素 葉っぱや枝、根などの植物体の元になるタンパク質になります。
タンパク質はアミノ酸で構成されたモノです。
生体エネルギーにもなりますが、糖に比べてかなり弱くなります。栄養生長時に多く必要とします。ただ、過多になると害虫を寄せ付け、病気に弱い体質になります。
生殖生長時に効き過ぎると、花の変形や実の異常が起こることがあります。

過剰症状

徒長など軟弱な体質になります。病害虫に弱く気温の上下にも弱くなります。葉っぱがドス緑になります。

欠乏症状

栄養生長が鈍くなります。植物全体が黄っぽくなります。

リン酸 生命維持の基礎代謝に必要です。
植物が大きくしたい、伸ばしたい部位の先に集中的に集まり、その先に栄養素を送ります。
花芽前に効かすと花芽分化が促進され、花芽後に効かすと花や実が大きく立派になります。栄養生長時に窒素とリン酸を両方効かせすぎると生長が分散してしまいます。リン酸は適量に控えます。
生殖生長時に窒素を控え、リン酸をしっかり効かすようにするのが基本です。日本の土壌は火山灰が多く、リン酸は不足がちになります。

過剰症状

カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、アルミニウムなどが結合し欠乏させます。窒素が過剰に使われてしまいます。

欠乏症状

花芽が少ない、新芽が出にくい、生長が悪い、未消化窒素の蓄積など起こります。

カリ 生命維持の基礎代謝に必要です。
アミノ酸→タンパク質、糖→デンプンなどの合成を助けます。
植物体内の浸透圧の調整役です。根肥と呼ばれていますが、これは根菜に必要なデンプン(炭水化物)を大量に作らせるためです。

過剰症状

カルシウム、マグネシウム、鉄などが結合し欠乏させます。

欠乏症状

葉っぱが白色化したり、大きな斑点ができる。実が大きくならない、樹液の流れが悪くなるなどあります。

カルシウム
(石灰)
強い細胞壁を作ります。
糖の移動に必要で、葉っぱで作られた炭水化物を移動させる役目があります。日本の水は軟水ですから、慢性的なカルシウム不足を起こしがちです。

過剰症状

pH異常(アルカリ質)、リン酸、カリ、マグネシウムの欠乏を起こす。

欠乏症状

細胞が弱くなり、病気が出やすくなる。エネルギーを効率的に使えずに弱体化する。

マグネシウム
(苦土)
葉緑素を構成している要素で、光合成と大きく関わっています。
リン酸を生長部位の先端に運びます。

過剰症状

カリ、カルシウムが欠乏します。

欠乏症状

葉っぱがクロロシス化し、光合成の力が弱くなります。リン酸欠乏症状を起こします。

硫黄 タンパク質の元となるアミノ酸の構成要素です。
日本の土壌では不足することは稀ですが、不足すると窒素欠乏の症状が出ます。

過剰症状

土が酸化します。

欠乏症状

生育が阻害されます。

微量要素

名称 説明
鉄 葉緑素の構成に関与しています。

過剰症状

リン酸、カリ、亜鉛、銅、モリブデンなどの欠乏症状を起こします。

欠乏症状

葉っぱがクロロシス化します。これにより光合成が弱くなります。

マンガン 酵素の元になっています。
葉緑素やビタミンの合成に関わっています。

欠乏症状

葉緑体が壊れ、葉っぱの黄化や斑点が出ることがあります。

銅 酵素の元になっています。
葉緑素を構成している要素です。

過剰症状

鉄、亜鉛、モリブデンなどの欠乏症状を起こします。根の発育が悪くなります。

欠乏症状

葉っぱが黄化、白化する。

亜鉛 オーキシン(成長ホルモン)の代謝に必要です。

過剰症状

鉄、銅、モリブデンの欠乏症状を起こします。

欠乏症状

若葉の生長が阻害される。

ホウ素 カルシウムやリン酸と同じような働きをします。

欠乏症状

新芽や根の生育が悪くなります。

モリブデン 窒素の代謝、ビタミンの生成に関わります。

過剰症状

鉄、銅、亜鉛などの欠乏症状を起こします。

欠乏症状

窒素の代謝やビタミンの生成が悪くなります。

その他

名称 説明
ミネラル 炭素・水素・窒素・酸素以外の元素です。
ミネラルと聞くと何か特別なモノに感じますが、実はそういうことではありません。
リン・カリ・カルシウム・鉄・ヨウ素・塩素など…これはすべてミネラルということです。「ミネラルが豊富に含まれている」というのは、元素の多種類が含まれているということです。植物栽培では、微量要素的考えでよろしいかと思います。
酵素 酵素とは、化学反応を起こすための触媒です。
タンパク質を分解してアミノ酸にしたり、逆にアミノ酸からタンパク質を合成したりします。
デンプンを消費するために糖にしたり、逆に糖からデンプンを合成したりします。
その他、人間の体内でも植物の体内でも酵素により化学反応させることで呼吸、消化、代謝、循環、排泄などをおこなっています。
もちろん、酵素が無ければ生きていくことはできません。
この酵素は体内の細胞内で作られます。また、外部から摂取することもできます。また、洗剤などでも利用され、衣類に付着したタンパク質を分解するなどの使われ方がされています。酵素には様々な種類があります。
そして、酵素はミネラルと強いつながりがあります。植物栽培では、まだまだこれからの技術です。