大苗は昔はバラ苗の主流!輸入苗は検疫の関係で今も大苗だけになっています。
流通に優れた日本では、今は大苗よりも新苗のほうが育てやすくて安価となることで新苗が主流になっています。
大苗ならば、値は張りますが鉢植えのほうが育てやすいですしね!
この大苗は生産者は冬に畑から掘り上げます。そしてガーデナーは冬に植え付ける…
冬の作業として、辛い作業ではあるのですが…
ここでトンデモ栽培技術が生まれました。
生産の栽培技術と販売の栽培技術とガーデナーの栽培技術がトリプルで重なり、トンデモな栽培技術を産み出したのです!
それが、「大苗は11月に植え込むと生育が有利になる!」などという…
先駆者たちの冬場の苦労をあざ笑うかのような…まあ、いいんだけどね(*^▽^*)
生産側のトンデモ栽培技術
バラは休眠期に入り冬の準備ができてから掘り上げるほうが良いことは、これは誰もがわかっています。
11月はまだまだバラの活性が高く、近年は12月でもまだバラの活性が落ちない…
掘り上げるベストな時期は1月か2月になります。
ところが、生産者は1月から切り接ぎ作業に入ります。
台木を掘り上げ、手入れし、切り接ぎをして畑に一旦植え、ある程度育ったらポットに植え替えて育てていく…
1月から3月まではこの切り接ぎ作業に追われます。
そうなると…
大苗を掘り上げる時間が無い!どうする?
よし、化成肥料もあることだし、まずは秋までに苗を太らせてしまおう!
そして、秋に掘り上げて冷蔵庫に入れておこう!そうすれば、苗は動かない!保管できるから売りやすいしね!
ということで、大苗の堀り上げは秋のまだ暖かいうちにされるようになりました。
でも、冷蔵庫保管も電気代がなあ…できれば早いウチに出荷したいよなあ…と…
販売のトンデモ栽培技術
バラがブームになると「この品種のバラが欲しい!」と、待ち望んでくれるお客さんが多くなりました。
たとえば…
(1)エヴリンの大苗1月販売開始!1月に発送します。
(2)エヴリンの大苗11月販売開始!1月に発送します。
(3)エヴリンの大苗11月販開始売!すぐに発送します。
一番よく売れるのは(3)です。
お客さんは買った物は早く欲しいですからね。
でも、秋に大苗が来るのはおかしいのでは?と疑問を持つお客さんもいます。
じゃあ、どうする?
![セールスマン2](https://bara.shop/bara-shinan/wp-content/uploads/2023/12/oouridashi_man-300x300.png)
皆さん、目からうろこの話をします。
実は大苗は11月に植えるのがベストなんです!
という、セールストークが出てきました。
販売の人だけどプロが言ってるんだから間違いない!と…
ガーデナーのトンデモ栽培技術
冬にバラの大苗を買って植え付ける…さ、寒い…
でも、バラのためなら冬に植え付けてあげなきゃ!寒いけど、頑張らなきゃ!でも、寒いなあ…
これに目を付けたセールストーク!
![セールスマン2](https://bara.shop/bara-shinan/wp-content/uploads/2023/12/oouridashi_man-300x300.png)
ウチのバラの大苗は秋に植え付けても良いように育て上げました!
だから、どうぞ秋に買って秋に植え付けて、冬は暖かくお過ごしください!
…
カンタンに釣れます(*^▽^*)
でも、それは理論上おかしいと疑うガーデナーには次のセールストークが!
![セールスマン2](https://bara.shop/bara-shinan/wp-content/uploads/2023/12/oouridashi_man-300x300.png)
実は土作りも秋がベストなんです!
微生物が寒さで動けなくなる前に、ウチの特性の土が蘇る培養土を使えば効果はバッチリ!
春は良い花が咲き誇ります!
…
釣れなかった人も、土作りと言われて次々と釣れていく!
ゆうきの園芸ショップのように「寒い?そりゃ冬ですから…頑張って!」と言っちゃう店と比べたら、とてもありがたいですよねえ、セールストークって!
セールストークは隅々の痒いところまで手が届きます。
大苗掘り上げのベストは?
バラの都合で考えれば、大苗堀り上げの最適期は1月です。
最低気温が安定して4℃以下になり、バラがしっかり休眠した時ですね。
ただ、生産者の都合で考えると、畑の土が凍る前に掘り上げることも大事です。
それを考えると、12月に堀り上げることはしかたないことではあります。
それ以前に掘り上げるのは…まあ、ビジネスと考えれば仕方ないかもしれません。
掘り上げ時期の違う苗の影響
冬(1~3月)に植え付けると!
寒冷地であれば12月でもOKだと思います。
苗は植え付けるとサイトカイニン優勢から始まります。
サイトカイニンは脇芽を動かしますよね!でも、地上部の脇芽は冬なので動きません。
サイトカイニン優勢は大苗のゴボウ根から多くのカルスを出すことをします。冬で休眠していても根は動きます。
地上部は芽が吹くとすぐにサイトカイニン優勢がオーキシン優勢に変わりますが、冬は地上部の芽は動かないのでサイトカイニン優勢の期間が長くなります。
よって、ゴボウ根からよりたくさんのカルスができます。
そして、その後にオーキシン優勢になって根を伸ばしていきます。
たくさんのカルスを出してから根が伸びる…とても根張りが良くなります。
これを冬の間繰り返すので、最高の根張りで春を迎えることができます。
秋(11~12月)に植え付けると!
必ずこうなる!ではなく、こういう傾向になると考えてくださいね。
バラは強いのでなんとかしますから…
苗は植え付けるとサイトカイニン優勢から始まります。すると、地上部の脇芽が吹いてきます。
根はまだゴボウ根のままなのに芽が吹いちゃうのでバラはとても不安定になり戸惑いますが、
バラはとても優れているので芽吹きはなかったことにしてくれます(*^▽^*)
明らかに春の芽吹きで起こることとは違って、まるでゴミが付いたぐらいにしか反応しない…
バラの強さに感謝ですね!
ただ、サイトカイニン優勢を早く解いてオーキシン優勢にしちゃうので、ゴボウ根から多くのカルスを出す期間が短く、これにより根張りは不利になります。
少ないカルスで根を伸ばしていくので、今後はオーキシン優勢とサイトカイニン優勢を切り替えにくくなり、春の段階では根張りはイマイチになりやすくなります。
何が変わってくるか?
大苗の地上部の成長は、勢いに任せることになるので見栄え的にはそれほど変わらないかもしれません。
でも、花後に大きく変わってしまう場合があります。
![pむむ](https://bara.shop/bara-shinan/wp-content/uploads/2023/12/pneko16.webp)
むむむ…
根張りの善し悪しだけではなく、サイトカイニン優勢とオーキシン優勢の切り替わりも鈍くなります。
鉢植えだとかなり顕著に出る場合があります。
あと、これは確信の無い話です。
私は根頭癌腫病ゼロにしたので、もう関係ないからと研究をやめたことなのですが…
冬にカルスになった癌化細胞と、それ以降にカルスになった癌化細胞では瘤になる確率は後者のほうがとても多いという…
そうではないか?という研究をやってはいました、私にはもう必要ないので(*^▽^*)
余談です。