循環と物質変化の機能を高める

生命エネルギーとなる糖は光合成で作られ、身体の元となるタンパク質は窒素から作られる!
そして、強いエネルギー消費はリン酸によりおこなわれる。

3大栄養素の窒素とリン酸が出ましたので、残るはカリです。
カリはカリウムの事ですが、園芸ではカリと表現されます。

カリもリン酸と同じく、栄養というイメージではありません。
機能として必要な物質となります。

カリには2つの大事な役目があります。

循環

ひとつは、「循環」です。
動物のように心臓という臓器を持たない植物は、樹液を体中に循環させるためにカリを利用します。

カリは細胞内に溜まっていきます。そうすると、細胞の浸透圧が高くなり細胞内に水を引き込みます。
この引き込む力は細胞ごとに起こり、これが結集することで水を引っ張り上げる力となります。
これで樹液の循環が起こるわけです。
樹液の循環は葉っぱの気孔で起こる蒸散も大きく関わりますが、葉っぱが無くても細胞により樹液は循環することができます。

物質変化

もうひとつは、「物質変化」です。
カリは、光合成で作られた糖をデンプンというカタチに変えて植物体内に貯めます。
このデンプンは植物が必要としたときに糖に分解され、エネルギーとして使われます。
その他、アミノ酸↔タンパク質などでも使われていきます。

カリにはこのような役目がありますが、栽培においてカリを意識するのは根菜ですよね。
カンタンに言うと、芋を太らせるためにカリを与えます。
これはどういう仕組みかというと、光合成で作られた糖をタップリとデンプンに変えるためです。
芋を太らせるということで根肥と呼ばれていますが、カリで根は伸びません。

過多と欠乏の弊害

バラ栽培ではカリはあまり意識しません。
理由は、カリ過多になる弊害の方が怖いからです。

カリはマグネシウムやカルシウム、鉄などと容易に結合してしまい、欠乏させる大きな要因となります。
ですから、カリが過多になると栄養バランスを大きく崩す原因となります。

また、カリが効き過ぎると循環に異常が生じます。
水を摂取しすぎ、細胞も弱くなり、様々な弊害を起こすことになります。

カリというのは安定して効いていくことが大事です。
よって、効かせることよりも常にあることを意識していきます。
これは土作りでの堆肥、そして固形肥料のぼかし肥料のみで賄うことができます。

ただし、カリが欠乏しても良からぬことが起こります。
循環が弱くなり、水を摂取するチカラが衰えます。物質変化も乏しいので、光合成や窒素固定も弱まります。

カリを欠乏させる一番の原因は、マグネシウムやカルシウム、鉄などの過剰投与です。
欠乏しにくいカリですが、限界を超えた過剰投与で起こることはあります。