バラの開花に欠かせないリン酸!
光合成で糖を作り、窒素からタンパク質を作り出す植物ですが…
これらは「栄養」と認識できますよね。
では、リン酸とはどういう栄養なのか?
まずはここから解説したいと思います。
人間などの動物は、動くことでエネルギーやタンパク質を消費します。
しかし、植物は動かない…ということは、動かない植物はどうやってエネルギーやタンパク質を消費するのでしょうか?
もちろん、生き物ですから基礎的なところでのエネルギー消費などはあります。
しかし、それではかなり弱いエネルギー消費しかしません。
リン酸は強くエネルギー消費するための物質!
こう考えてください。これが一番わかりやすい解釈です。
では、植物栽培で強くエネルギー消費させたい場面というのは、どういう場面でしょうか?
開花や実の成長です!
枝葉を伸ばすよりも多くのエネルギーを必要とするのが開花や実の成長です。
よって、バラなどの大きな花をたくさん咲かせる植物、大きな実をたわわに付ける植物にはリン酸が欠かせなくなります。
リン酸がエネルギー消費させるメカニズム
では、このリン酸はどういうメカニズムでエネルギー消費させるのか?
リン酸というのは、植物が大きくしたい箇所に集中し、樹液で運ばれる糖やタンパク質をさらに先に送り込みます。
この作用で花や実などにどんどんと糖やタンパク質を送っていきます。
良質の実や花を収穫するために、リン酸はとても大事な役割を持っています。
ただ、注意すべきことがあります。
「リン酸というのは、植物が大きくしたい箇所に集中し」のとおり、生殖生長時は花や実に集中してエネルギー消費してくれます。
一方で、栄養生長時にリン酸が効くと、バラが伸ばしたい枝葉の先や根の先に集中してしまいます。
これがシュートが出にくくなったり、一本杉になる要因となります。
リン酸は、生殖生長時に効かせていく
これが大事ですね。
このリン酸補給が理想的にできれば、バラは一変します。
ただし、リン酸というのは植物が根から摂取しにくい物質です。
様々な物質と簡単に結合してしまい、ク溶性物質(水に溶けない)も多く作り出してしまいます。
「効かしにくいから大量投入」という、これが慣行栽培ではおこなわれています。
また、リン酸というのは栄養生長時に効かせる意味はありません。
わざわざ枝葉をリン酸で大きくする必要などないのですが、栽培初期に土壌にリン酸をぶち込んでしまうと栄養生長時にリン酸が効いて、肝心の生殖生長時にリン酸が効いていないことになりやすくなります。
そこで近年では、
リン酸は土壌にぶち込まず、生殖生長時に葉面散布で与える
これにより、リン酸を土壌に大量にぶち込むリスクを無くすことができます。
土が壊れなくなりますよね。
リン酸も栄養生長時は効かすことなく、生殖生長時を狙って効かすことができます。
ただし!
どこで効かすか?は植物栽培される方の手腕が問われます。
つぼみを付ける前にリン酸を効かせばつぼみの数が増え、つぼみを付けた後でリン酸を効かせれば一極集中型になります。
たくさん咲かせるのか、絶品を狙うのか、考えどころですよね!
これからの栽培は、リン酸の扱いが顕著に結果に反映してきます。
そのためにも、リン酸供給は土壌ではなく葉面散布に変えるメリットは高くなっています。
このリン酸の葉面撒布を可能にしたのが、ピキャット・ありんです。
ピキャット・ありんは、リン酸ではなく、化学式ではリン酸にひとつのOが抜けた亜リン酸です。
株が老化するリスクがあるバラですから、バラ体内の活性酸素と結合してリン酸とする狙いで使います。
結果が目に見えてわかるわけではありませんが、こういうことを狙っています。