菌の世界は目に見えない世界です。
意外と知られていないようで、菌やウィルスの話はとんちんかんな話が多くなっています。
「これからの農業やガーデニングは洗浄カテゴリーが不可欠!」
これを考えるには、菌の世界がどういうものなのかを知っておく必要があります。
菌やウィルスは無数に存在する!
庭の土、鉢植えの土を一掴みしてみてください。
はい、貴方は今、数億の菌やウィルスを掴んでいます。
では、庭全体の土にはどれほどの菌やウィルスが存在しているでしょうか?
これが畑だと、どういう桁になるのか想像すらできません。
菌の種類、菌の数というのは想像を絶します。
ちなみに、人間の身体には1兆個の菌やウィルスが付着しているそうです。
体内だと、100兆個ほどいて、約1kgは菌やウィルスの重さだそうです。
菌の種類だと1000種類ぐらいになるそうです。
これが菌の世界です。
常在菌と非常在菌
常在菌とは、自然に普通に存在する菌のことです。
一方、非常在菌は自然では存在していない菌のことです。
これをバラの病気で解説してみます。
うどんこ菌や黒点菌、ベト病菌、灰色カビ病菌、サビ病菌などは常在菌です。
根頭癌腫病菌は非常在菌です。
この違いは、自然に存在し増殖するモノなのかどうかということです。
菌やウィルスというのも弱肉強食の世界です。
環境や条件に合った菌や強い菌は増殖し、環境や条件に合わない菌や弱い菌は淘汰されていきます。
うどんこ菌や黒点菌、ベト病菌、灰色カビ病菌は環境と条件が合えば止めどなく増殖し続けます。
その代わりに冬は一気に数を減らします。
これを繰り返して存在している菌ですが、近年の地球温暖化でおかしなことにもなっています。
根頭癌腫病は自然では淘汰されてしまう菌です。
ところが、バラの根などの媒体が地中にあることで潜伏します。こうなると、潜伏菌となります。
根頭癌腫病菌が地中で2~3年は生き続けるというのは、これは媒体が存在しなくなる期間を言います。
媒体が存在しなければ、根頭癌腫菌はすぐに淘汰されてしまう弱い菌です。
大増殖する理由
菌やウィルスというのは、環境や条件が合えば止めどなく増殖し続けます。
一方、合わなくなれば一気に数を減らします。
菌を減らし死滅させるのは殺菌剤や除菌剤に頼りますが、それ以上に効果絶大なのが環境や条件です。
たとえば、風呂場の黒カビは直射日光に当てれば綺麗に死滅します。
直射日光が当たらない風呂場だから、殺菌剤や除菌剤を使わざるを得ないとなります。
非常在菌は媒体があることで潜伏菌となります。
媒体があればあるほど大増殖していきます。これが畑での大増殖のシステムです。
感染は確率と運による!
菌やウィルスに感染する…これは、確率と運の世界です。
病原菌の数が多いと、抵抗しきれずに増殖を許して感染してしまう確率が高くなります。
病原菌の数が少ないと、抵抗できて増殖を許さない確率が高くなります。
ちなみに、生き物の抵抗とは次亜塩素酸という物質で菌やウィルスを撃退することです。
ピキャットクリアの主力成分です。
バラの病気の場合、うどんこ菌や黒点菌というのは、数億、数十億、数百億…
とてつもない数でバラに襲いかかります。
そのほとんどをバラは自身で撃退しているのですが、撃退しきれないと感染が起こります。
植物の病原菌は数種類
農業やガーデニングで存在する菌やウィルスの種類はどれぐらいあるでしょうか?
有用な菌や不都合な菌をいろいろ合わせると、おそらく数千種類になると思われます。
私は数えたことがないので詳しいことはわかりませんが…
では、植物の病原菌はどれぐらいの種類がありますか?
バラで10種類ぐらいです。
つまり、数千種類の中で10種類程度がバラに感染する病原菌です。
割合だと1%以下となります。
次に、人間に不都合な菌はどれぐらいの種類がありますか?
こちらの方が圧倒的に多いですよね。
常在菌、非常在菌を合わせるとかなりの種類になります。
しかも、現在はノロウィルスなどの驚異的なウィルスが常在菌になりつつあります。
日本には存在していなかったウィルスなども海外から持ち込まれ、菌やウィルスの脅威はさらに増大しつつあります。
こういう菌の世界であるのに、
農業やガーデニングはたかが10種類程度しか殺菌することを考えていませんでした。
それが農薬です。
不都合な菌はすべて洗い流せ!
これからの時代は不都合な菌すべてを対象にしていかなければいけません!
もちろん、特定の菌を対象にすることなど不可能です。
農薬であれなんであれ、特定の菌のみ死滅させることなどできません。
ただ、これは私らの日常のお風呂や手洗いを参考にしてください。
私たち人間は、お風呂や手洗いで不都合な菌を洗い流しています。
しかしながら、洗い流してしまうのは不都合な菌だけではありません。
人間に有用な菌も洗い流してしまいます。
しかし、有用な菌というのは常在菌ですから、また自然に存在してくれます。
これは植物も同じです。
洗浄すれば不都合な菌や有用な菌を区別なく洗い流してしまいます。
ところが、有用菌は常在菌なのですぐに自然に存在してくれるようになります。
ただし、土壌は注意してください。
土壌の菌やウィルスはバランスを保つことで成り立っています。
これは人間の身体内部と考えてください。
菌やウィルスのバランスを崩してしまうと、元に戻すのはかなりの時間がかかります。
あくまで洗い流すのは、人間なら身体の表面だけ、植物なら身体の表面と内部だけです。
人間の身体の内部や土壌は別物と考えてください。
土壌の80%は放線菌
有機土壌の80%は放線菌です。
放線菌にはいろいろな種類がありますが、有機土壌は基本的に放線菌の海のようになっています。
いや、放線菌という蜘蛛の巣だらけみたいな…
栽培では放線菌を増やそうなどと言われていますが…
有機土壌は80%が放線菌なので、あえて放線菌だけ増やすというのは意味は無いように思います。