相談室やLINEでの相談は常連さんと一見さんでは相談内容がまったく異なっていて…
今、一見さんで一番多いのは「この酷暑でバラが…」という相談ですね。
オンラインセミナーに参加されている常連さんの方々は「バラの夏越し」という大きなカテゴリーを意識してくれていますが、巷では夏越しどころかさらにバラを酷使することばかりがされているらしく…
もう10年ぐらい前になるけど…
おい、夏場に水遣りを控えるなんていい加減なことを言うなよ。
ガーデナーがバラを枯らせちゃうだろが!
夏場にとどめを刺してもらった方がいいじゃない。
どうせ枯れるんだし…!
ま、まあ、ウチの客じゃないから商売に口は出さないけどね…
という会話が有ったとか無かったとか(*^▽^*)知らんけど…
まあ、他店は他店、ウチはウチで解説していきます。
まずね、ここは日本というのを確認してもらいます。
パリの気温
ロンドンの気温
東京の気温
イングリッシュローズがロンドン、デルバールがパリとすると…夏場はこれだけ違うわけです。
でね、実際には東京は40℃近くまで気温は上がっています。パリは30℃近く、ロンドンは28℃ぐらいまで上がるそうです。
ジャカルタ(インドネシア)の気温
あれ?東京の方が暑い?コンクリートやアスファルトは東京の方が圧倒的に多いので体感温度はどうなってる?
おいおい、夏はロンドンやパリどころかジャカルタよりも日本はバラを育てるのが難しいじゃねえか(`Д´)
そうですよ?そんなことは10年ぐらい前からわかりきっていること!
だから日本のバラ栽培では「夏越し」というのが大きなカテゴリーになっているんです。
誰?化石みたいなバラの育て方の本を読んでどや顔してるのは?(*^▽^*)
パリやロンドンやジャカルタよりも苛酷な夏の日本!
これだけ見ると、日本はパリやロンドンやジャカルタよりもバラ栽培に向いていないように見えます。
でもね…
日本にはパリやロンドンやジャカルタよりも優れた四季がある!
わけです。
苛酷な日本の夏さえ越すことができれば、日本の素晴らしい秋が待ち受けている!
そういう育て方をするのが日本流のバラ栽培なんですね!
でも、別に日本流とかフランス流とかイギリス流とかインドネシア流なんて分ける必要はありません。環境と条件に合わせてバラを育てれば良いわけです。
日本の夏のバラ栽培 勘違いポイント4選
1.猫でもわかる日本の酷暑で起こる肥料濃度リスク
↓
夏場だから水遣りが多くなり肥料の溶け込みが多くなる
↓
肥料の溶け込みが多い土壌が、暑さで水が多く蒸発する
↓
土壌の水分が多く蒸発したので、土壌の肥料濃度がグングン上がる
↓
バラの根が濃度障害を起こしたり、バラが水が吸えなくなる
↓
夏場の枯れ、秋のダンマリが起こる
これぐらいのことは初心者の方でも理解できると思います。
夏場は水遣りが多くなるので肥料の溶け込みが他のシーズンよりも多くなるんですよね。
これは理解できますよね?
その肥料が多く溶け込んだ水が土に吸収され、そして酷暑で土の水分がいっぱい奪われます。そうなれば、肥料濃度はグングン濃くなりますよね?
たとえば、土の保水率が100%としてその保水率が30%になれば土の肥料濃度は3倍になります。
水遣りが多くなり、肥料がドンドン溶け込み、熱で土の保水率が下がり、そして肥料濃度が高まる…
これで起こるのが肥料による濃度障害、根の細胞が壊れる根焼けです。
「酷暑にバラが耐えられないみたいで…」と相談されたり、夏場にバラが枯れたり秋にダンマリしちゃうのはこれが原因です。
まあ、当たり前ですよねえ(*^▽^*)
じゃあ、どうするか?
肥料がたくさん溶け込まないように水遣りを控えよう!
これ、人間だと汗をかかないように水分を控えるみたいな感じかな?モデルとかそうしてるのかな?
でも、夏場の暑い時期にやったら拷問ですよね。
日本のバラのガーデナーはサディスティックガーデナーが多いですが、ピーキャット流有機栽培はバラに優しい栽培を心がけますので拷問や虐待はタブーです!
水は命の源!生き物は水を欲したら摂取しなければ命に関わります!
アホなことはやらず、優しさでバラに接していきましょう!
では、酷暑でも頑張ってくれているバラに対して優しくあるためにはどうすべきか?
■肥料の溶け込みを減らすために固形肥料の量を減らす
■肥料の溶け込みが起こらない液肥に替える
■酷暑に耐えているバラには水をいっぱい与えてあげる
液肥の重要性はサディスティックガーデナーには理解できないと思います(*^▽^*)
でも、肥料濃度が上がりやすい酷暑に液肥を使えるというのは、とても優しいおこないでしょ?
「バラの体調が悪いのに肥料を与えるのは、人間だと体調が悪いときに焼き肉を食べさせるようなモノだ!」
という私の話をパクるバラの先生は多いですので、酷暑では肥料を減らしたり液肥に替えるのもパクってくれると思います。
足し算と引き算しかできないサディスティックガーデナーは液肥を拒否しがちですが…
液肥って腕が上がれば上がるほど多用できるのは、これはガーデニングでも家庭菜園でも農業も同じ傾向かな?と思います(*^▽^*)
2.酷暑の葉っぱのクロロシス現象は生理現象です
葉っぱがクロロシス現象になって他店に相談したところ、マグネシウム不足だからこの活性剤を使うように言われました。でも効果は感じられず…
この相談が多いのですが…
葉っぱがクロロシス状態になるのはマグネシウム不足で起こることはあります。マグネシウムが不足すると葉緑素を作ることができなくなるので…
でもね、酷暑での葉っぱのクロロシス状態はバラの生理現象です。
マグネシウムが不足で起こるのではなく、バラが光合成を嫌がって自身で葉緑素を減らしているからなんです。
この現象は光合成が強くて薄くてみずみずしい葉っぱで起こります。
緑が濃すぎたりバリバリで固い葉っぱでは起こりません。こういう葉っぱはそもそも光合成が弱いので葉緑素を減らす必要が無いからです。
光合成が強くて薄くてみずみずしい葉っぱは光合成を抑えるために自身の葉緑素を壊してしまいます。そのためにクロロシス状になるわけです。
では、どうしてバラは光合成を弱めたくなるのか?
バラは光合成をするためには多くの水を使用します。
ですが、酷暑ですとバラは体内の熱を逃がしたいので水を葉っぱからの蒸散に多く使います。よって光合成に使える水が不足するので葉緑素を減らす必要があるわけです。
じゃあ、水が不足しないようにタップリ水を与えれば良いのでは?と思えますが…
バラが水を摂取できる量は限られていて、日本の夏はそれを上回るから仕方ないんです。
実際、ピーキャット農場のバラたちも夏場に葉っぱをクロロシス状にするバラは出てきます。
光合成が強くて薄くてみずみずしい葉っぱを良しとするピーキャット流栽培ですので、これで良いんです。
でも、秋にはすっかり元に戻って綺麗な葉っぱになります*^▽^*)
このクロロシス状の葉っぱを嫌って葉っぱの緑を濃くすれば秋には残念なことになることも多く…
クロロシス状の葉っぱを見たら「頑張ってるな!」と思えるようになりましょうね!
3.夏場の落葉は気にしない!
夏場に葉っぱが無くなると秋に影響すると思い込んでいる人が多いんですよね。
これ逆(*^▽^*)
バラが落葉したいのに無駄な抵抗を繰り返すから秋に影響しちゃうということです。
というか…
夏に丸坊主になって秋に動かない場合はそもそもダメージが大きすぎるか育て方が間違っているということです。
ほったらかして病害虫ですべて丸坊主にしたとか水遣りをサボって落葉させたのならこれは大きなダメージによる落葉です。
ちゃんと管理していたけど落葉する分には、それはバラがそうしたいんだから「頑張ってるな!」と考えてあげてください。
4.水耕栽培でも育つバラが水遣りが多くて枯れるわけない
質の悪い培養土を使ったり水はけの悪い鉢を使うと土に水が溜まりやすくなって嫌気性微生物(嫌気性の腐食菌)が大増殖し、結果として水遣りが多いと嫌気性腐食菌によって根腐れを起こすことがあります。
だから…
水遣りが多いとバラが枯れると言っている店からは資材は買わないのが大事!(*^▽^*)
バラの根腐れは品質の悪い土や水はけの悪い鉢で起こります。
「水遣りが多いとバラが枯れる」と言っているということは、「ウチの店の資材を使った場合、水遣りが多ければ根腐れしますよ!」と言っているわけです。
つまり、根腐れを起こすような土や肥料や活性剤や鉢を取り扱ってますよ!という…
バラは水耕栽培でも育つので、根腐れを起こすのは嫌気性腐食菌です。
バラの培養土や使用する鉢は嫌気性腐食菌が増殖せず、好気性微生物(好気性腐食菌含む)がしっかり増殖できる資材を使う必要があります。
気温がそこまで上がらないロンドンやパリよりも、日本ではしっかりやっていきましょう!
また、溶け込みでカンタンに肥料濃度を上げてしまう固形肥料も日本のバラ栽培には合いません。
暖効性が強く肥料成分が低めの肥料を使いましょう。そういうことでも日本は有機肥料が合っています。
5.365日、最高のパフォーマンスができるアスリートなど居ない
夏はバラが休んでいるのにムチ打つようなことはしてはいけない。
しっかりメリハリを付けるためにも、夏はだらしないぐらいがちょうど良いんです(*^▽^*)
これ以上の夏越しの話はオンラインセミナーに参加して習ってくださいね!
40℃を超えるような灼熱地獄でもじっと耐えてくれているバラたち…
一見さんもいち早くサディスティックガーデナーからバラに優しいガーデナーに代わってくれればなあと…
「水遣りが多いとバラが枯れる」なんて、よほど栽培技術レベルが低いのか、それともサディスティック性が強いのか、それとも日本以外の話なのか…
どうなんでしょうね(*^▽^*)