バラが水分摂取しすぎると良くないという迷信は理解できましたか?

そして、本当はバラにはできる限りたくさん水分摂取してもらいたいんです!
バラが水分摂取すればするほど、バラは健康に健全に育っていきます。

その理由は、新陳代謝と細胞の仕組みにあります。

私ら人間の細胞の数というのは、身体が大きい人も小さい人も同じ数です。
細胞の数が同じなのに、どうして大きさが違うのか?
それは細胞の大きさです。細胞が大きくなることで身体が大きくなります。
人間の細胞は伸縮できるようになっています。だから、細胞壁を持ちません。
となれば、細胞に水をパンパンに張ったら細胞が大きくなる一方ですよね…
これ、水太り状態になります。

一方、植物は大きい株と小さい株であれば細胞の数が違ってきます。
どこまでも細胞分裂を起こして増やしていきます。だから、切ってもまた芽を出して枝が伸びてきます。
また、植物の細胞は身体を支えることが必要になるので細胞壁を持っています。
細胞に水をパンパンに張っても、次の細胞ができるわけですし、細胞壁があるのでそこまで大きくはなりません。
よって、できるかぎり細胞には水をパンパンにしておきたいわけです。
もちろん、水太りなど起こることはありません。

それと、新陳代謝も大きく関わってきます。
光合成の光エネルギーは、光合成で使われるのは1/4程度です。
残りは葉っぱの蒸散(葉っぱの気孔から水分を排出すること)に使われます。
バラが水をタップリ摂取できるのであれば、この葉っぱの蒸散が活性化します。
葉っぱから蒸散するパワーは、バラの根から水を吸い上げるパワーとなります。
つまり、水分を蒸散し、水分を摂取する…新陳代謝のパワーが強まります!

まだ他にもバラの水分摂取量を高めたい理由はありますが…
とにかく、バラにはできる限りの水分摂取をさせるのが原則です。

しかし、バラは人間のように胃袋に水分を流し込むことはできません。
あくまで浸透圧で水分摂取しますので、この浸透圧パワーを強めることしかできません。

では、どうすれば浸透圧パワーを強めることができるのか?

(1)カリの安定供給
(2)土壌の塩基濃度を上げない
(3)葉っぱの蒸散パワーを強くしていく
(4)バラを活性化させていく
(5)水不足にしない

などがあります。
あまり難しく考えないでください。

(1)カリの安定供給 (2)土壌の塩基濃度を上げない

浸透圧を作るのは、バラの細胞に蓄積されるカリです。
土壌よりもバラの細胞のほうが浸透圧が高いので、水はバラに流れていきます。
つまり、土壌に肥料などぶち込まず、カリは無理せず安定して効かせるようにすればよいということです。

(3)葉っぱの蒸散パワーを強くしていく

葉っぱの蒸散パワーは浸透圧よりも強くなります。
背の高い樹木のてっぺんにまで樹液を送ることができるのは、この蒸散パワーによるものです。
葉っぱの蒸散パワーを高めるには、光合成が強くできる若い葉っぱを大事にし、ドス緑の不健康な葉っぱにしないことが大事です。
葉っぱは分厚いことよりも緑が濃いことよりも、柔軟に活発に気孔を開閉できる葉っぱのほうが良い葉っぱです。

(4)バラを活性化させていく

バラの新陳代謝が活発であれば、もちろん水分摂取パワーも強くなります。
新陳代謝はバラが活性化しているときは決して落とさないようにしましょう。
また、リン酸補給させてエネルギーやタンパク質の消費を上げることでも新陳代謝を活性化させることができます。

(5)水不足にしない

水不足はバラの活性を一気に弱めてしまいます。
また、慢性的な水不足は光合成を弱め、葉っぱの気孔を開くこともやめてしまいます。

いかがですか?

水は命の源と言われています。これは本当です。
この水の大事さが理解できて始めて、水遣り3年ということになります。