「水遣りは控えましょう!」、「枝がうなだれても元に戻るから大丈夫!」
言っちゃあいけないことを平気で言っちゃうバラの先生…何も知らないのに何を言ってるんだろ?
ということで、皆さんには水涸れの恐怖を特と味わってもらいますね!
ただ、夕方に気付いたら枝がうなだれていたとかは普通にあります。これは良いことではなくて仕方がないこと!
良くないこと、悪いことだけど仕方が無いことでもあります。
だから、恐怖は伝えますが過敏にはならないでね!ノーテンキに対しての警告と捉えていただければと思います。
では、バラが水不足に陥ったときのバラの反応を時系列で解説します。
バラが水不足に陥ったら…
1.細胞の水が減ります
若いシュートがしゃんと立っていたり、若い葉っぱがピンとしているのは、これは細胞に水がパンパンに張っているからです。
動物は細胞壁がなく細胞は伸び縮みするのに対して、植物の細胞には細胞壁があるので水をパンパンに張らしておかないといけません。
バラが水不足になると若いシュートがうなだれるのは、あれは細胞内の水がパンパンに張れていないからです。
若い葉っぱがしわしわになるのも同じです。
まあ、この段階でなら水遣りすれば戻るので、慌てなくてもいいです。
でも、慢性的に起こすと…恐ろしいことが起こります。
2.若い細胞を優先し、古い細胞は木質化へ!
バラは水を若い細胞に優先して送ります。水が不足すると古い細胞に水を送る分がなくなります。
古いとは言ってもまだまだ現役の細胞…なのに、自民党の政策のように国民たる細胞を次々と見捨てていきます。
そうすると、古い細胞はこのままでは壊れてしまうので防衛手段を講じます。
細胞の細胞壁にリグニンを送り込んで水が必要ない「木質化」の細胞にさせます。
枝が固くなる、葉っぱが厚く固くなる…見た目は強そうでも、光合成が弱い代謝の悪い「老化現象」が始まります。
まだまだ現役の細胞なのに、水が不足すると古い細胞から木質化させ老化現象を起こしていく…
水不足は老化現象と直結しています。
3.バラが成長することをやめ、守りに入る
バラには強い防御本能があります。
水涸れを感じたら、水を失っても生きていこうとします。樹木として強靱な防衛機能を働かせます。
バラが水不足を感じ、このままだと生命の危機と判断したら…
アブシジン酸というホルモンを大量に生成し、バラ体内に行き渡らせます。
この、バラが命の危険を察知して守るということが、ガーデナーにとってはとてもショックなことに…
アブシジン酸がバラ体内に行き渡ると、葉っぱの気孔を固く閉じてしまいます。
これが起きると、バラは新陳代謝しなくなります。光合成も止めます。根から水を吸い上げる量が一気に減ります。
次に粛清が始まります。
生きていくのに余分なモノは捨てていきます。花、葉っぱ、根…次々と粛正し捨てていきます。
もしくは木質化!若い細胞は水が必要なので、若い細胞すら細胞壁にリグニンを送って細胞を木質化してしまいます。
見た目は悪くないのにうんともすんとも動かない…そういう株はこのアブシジン酸が生成されてしまったケースが多いのです。
4.沈黙のバラたち…
アブシジン酸が生成され、バラ体内に回ってしまうと…これはなかなか解かれることはありません。
水もあまり摂取せず、つまりは栄養も摂取されず、光合成はしないのでエネルギーもなく、成長ホルモンは生成されず…
「株はしっかりしているし、葉っぱもたくさんついているのに…動かないんです!」という、
沈黙のバラができあがります。
でも、見た目は悪くないから満足できる人もいるみたい(*^▽^*)
こういう株って、けっこう売られてたりしています。
バラ苗を買うときの目安!葉っぱは薄くてみずみずしいを覚えておきましょうね!
葉っぱがみずみずしいから代謝が強くて光合成も強くなります。固くて緑が濃い葉っぱは見た目と違って光合成はとても弱い…
5.葉っぱが落ちだしたら復活のチャンス!
沈黙のバラだと安心してるのに、葉っぱが黄色に変色して落ち出すと慌てる人が多い(*^▽^*)
これね、バラが沈黙を解いて動こうとするから葉っぱを黄色く変えるんです。
若くてみずみずしい葉っぱを出すために!
だから、葉っぱの落葉は喜ばないといけない!
とても健全なバラは、アブシジン酸を出す前に葉っぱを黄色に変えて葉っぱを落とそうとしてくれます。
自己再生力が強く、古い葉っぱを落として新しい葉っぱを出そうとするわけですね。
私が沈黙のバラを預かれば、まずは最初にバラが葉っぱを落とそうとするのをひたすら待ちます。
そして、葉っぱを落としだしたら次の新しい葉っぱを出させるためにバラを動かします。
これがバラの復活のやり方です(*^▽^*)
どこまで水涸れさせたらアブシジン酸が生成されるのか?
あまりにも酷い水涸れだと、アブシジン酸を生成する前に細胞が水を失って壊れます。
葉っぱや枝が茶色に枯れていくのが最悪の水涸れですね。
アブシジン酸の生成は、あくまでバラの防衛本能ですので、どの時点でそうなるかはバラ次第です。
強い水涸れだと生成しやすいですし、弱い水涸れでも起こる場合があります。
弱い水涸れを繰り返すと、それだけ生成の確率が上がります。
バラは水涸れに慣れることはありませんので、慣れていると感じたらそれは沈黙のバラかも…
水遣りは多くてOK!
水遣りが多いと根腐れするというのはデタラメですし、根が緩慢になることもありません。
ただ、多すぎると土壌の栄養バランスや微生物バランスが崩れる可能性があります。
まあ、そこまで水遣りする人はいないと思うので(*^▽^*)
ここで教訓!
水遣りするかどうか迷ったら必ず水遣り!
念のためでも水遣り!
これはとても大事なことです。