春先にバラが芽吹く前に与える芽出し肥…
この考え方が変わりました。

寒肥で肥料を混ぜちゃう人には何の関係もない話なんですが…ちゃんと土作りしている人は参考にしてください。

従来の芽出し肥は、今後の栄養生長(枝葉が伸びる)のために肥料をガツンと与えることを良しとしていました。
寒肥に堆肥を入れ、じっくり春の準備を過ごした後の目覚めでガツン!という感じですね。

これ、生長サイクル重視で、休眠期から栄養生長への切り替えとして考えていたのですが…
オーキシン優勢とサイトカイニン優勢の切り替え、根の生長と地上部の時間差を考えれば、
やり方を変えるべきだとなりました。
これを解説します。

今までのガツンと効かせる芽出し肥

バラが休眠期から目覚めるとまずはサイトカイニン優勢となり、根は根張り、地上部は芽の吹き出しをします。
その後、すぐにオーキシン優勢になるので、このタイミングで肥料をガツンと効かせて一気に栄養生長と考えていたのですが…

根と地上部にはタイムラグがあり、一気に土壌の栄養濃度を上げることはデメリットもあります。

春先に芽吹くことで芽が動き伸びていきますが、実は根のほうが先に伸びます。
ある程度根が伸びて行き着いてから、次は地上部を伸ばします。
この、「根の方が先に伸びて行き着いてから」に関して、土壌の栄養濃度を上げてしまうと悪影響が出る可能性があるということです。

根が伸びるというのはそれほど窒素やカリは必要としませんし、リン酸は効かせないほうが有利です。
根が伸びてきても土壌の栄養濃度が高いと根の浸透圧が落ちるので、これは良いことではありません。
まだ微生物バランスがしっかり出来上がっていない春先の段階で、
肥料濃度を一気に上げるのも良いことではありません。

この時期での土壌の肥料濃度を上げればうどんこ病が発病しやすくなり、
バラゾウムシやスリップスなどを呼び寄せやすくなります。

よって、無農薬化、有機栽培で不利になります。
近年は地球温暖化で芽吹き時期の気温が不安定で、動くと思いきや気温がグンと下がったり、
まだ動く時期ではないのに気温が上がって動き出したり…

ガツンと効かせる芽出し肥はやめておくべき!
と、そう考えていくことにしました。

新しい芽出し肥の考え方

新しい芽出し肥

芽が動き出す時期にまずは軽く窒素分を与え、地上部の芽がしっかり枝葉を展開させてから肥料を普通に追肥する!

芽出しでガツンと肥料をと効かせるということはもうやりません。
また、春の芽吹きは肥料どうこう関係なく、サイトカイニン優勢からオーキシン優勢にバラが切り替えます。
根が伸びるというのは台木であるノイバラの根が伸びるということなので、窒素分はそれほど必要ありません。
本当は土作りでの窒素分で充分です。
ただ、地上部も動くことは動くので、軽く窒素分を与えます。

この軽く窒素分を与えるというのは、ゆうきの園芸ショップならばぼかし肥料を軽く与える、
もしくはピキャットアミノを与えるということになります。

そして、根が伸びる時間を与え、ある程度根が伸びたらバラは次は地上部を動かします。
地上部がしっかり動き、シュートが5cm以上しっかりと伸び、葉っぱも展開してきたらぼかし肥料を普通に追肥します。
これは品種で差が出ますので、「シュートがしっかり伸び出し、葉っぱもしっかり展開してきたら」が基準です。
これは厳密なことではないので、多少ずれてもまったく問題はありません。
そもそも、土がしっかり作れていれば(リバイバルを使っていれば)全然大丈夫です。

バラがストレスなく生長サイクルがおこなえ、春のうどんこ病対策、厄介なバラゾウムシ対策、その後居着いてしまうスリップス対策など…
病害虫対策としても、芽出し肥を変えてみてください。

ただし!
こういう病害虫対策は効果が出るとは限りません。そうした方が有利だという話です。
そこはしっかり空気は読んでくださいね(*^▽^*)